『太陽の塔』

京都が舞台の、イケてない男子大学生の妄想手記。久しぶりにこの手の文体を読んだ気がします。彼の頭の中はいつまでも大正明治って感じですね。手記の形態をとっているので、物語ではありますが、突然人物紹介が出たり、過去のエピソードが出てきたりと忙しいです。最後には本当に妄想の世界へ飛んでしまったのかと思わせるような場面もあったり。これは映画かドラマにしたら面白いんじゃないかと思います。本の下に流れているのはあの大阪万博で有名になった太陽の塔。私も昔1度だけ遠くから見たことありますが、まさに“宇宙”って感じでしたね。あれは宇宙人なんじゃないかとも思えます(笑)佐藤とのゴキブリのやり取りはさすがに笑いました。小説読みながら吹き出したのは初めてかもしれません。これがデビュー作ということで、他の作品もちょっとつまんでみようかと思います。

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)