『魔王』

伊坂幸太郎の『魔王』を読破しました。“呼吸”は“魔王”よりもトントン拍子で軽く読めてよかった。これで“魔王”並みの破壊力があったら、完全ノックダウンだよ、私。
ムッソリーニとか、宮沢賢治とか昔聞いたような名前がたくさんできて、ちょっとこの本の世界の政治に知ったかぶりできる話ですね。あとタイトルの『魔王』にはいろんな意味があるけど、あの音楽の時間に聞いて、誰しも1度は大爆笑したことのある『魔王』の話も出てきます。本筋としては、全体主義とか固い話なんだけど、たとえ話というか解説というかが上手くて、よく理解できる。でもこーゆー小説がでてしまったから、実際の社会はこーゆー風には絶対にならないでしょうね。政治の話は嫌いです。よくわかんないし。だけど、これは政治の話もするけど、それよりももう少し哲学に寄ってる気がするのがいいですね。
話の切り口が斬新だと思う。主人公が超能力みたいのを持ってるってのは、ありきたりかもしれないけど、それがすごくちょっとしたことなのがいいよね。もしかしたら、自分も…。みたいな。ないけどさ。群集心理を描いているようなところも好きです。て、よくわかんないんだけど。私は知識がないから、あんまりたいした感想かけないのが悔しいなぁ、こういう本読んだとき。
「消灯ですよ」という台詞が何回もでてくるけど、何か意味を持った単語なのかどうかは、これだけだとよくわからないね。続きが最近ハードで出たみたいだから、そっちも呼んでみないと。
あ、そうそう。この本を読むなら、先に『死神の精度』を読むことをおススメしますよ。ニヤニヤしますぜ。あぁ、彼は今日も…てなって、ちょっとしんみりする。そして気づいた人はオチが読める(笑)このちょっとした内輪ネタ的な雰囲気好きですよ。読んだ人にしかわからない、ネタ。それで読み手は作者と通じた気になれて満足しちゃうんだから。
この小説は絶対に映画とかドラマとかにしてほしくない。てか、したら良さが伝わらない気がする。ちゃっちいSF見たいになるよ、絶対に。でも伊坂がメインにしたいのはそんなSFチックなところじゃないと思うんだよ。日本文学の深読みは苦手だから、ちょっときちんと言えないけど。私の読んだ感想だと、あのアンダーソンの家が燃やされるあたりが主なんじゃないかって思うんだ。ああ、外国語文学と同じようにきちんと読めるようになりたいなぁ。

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)