むかし僕が死んだ家

久しぶりに文学の話をします。てかね、『雪国』進まない…;;やっぱり現代小説のほうが読みやすいと痛感しました。でも『雪国』はきちんと読破します。そういえばゼミの研究用に去年買った芥川龍之介も必要あるのだけしか読んでないな…。あとは『鼻』くらいしか読んでない…。そのうち読もう。『黄色い目の魚』はなんか続き読めない。『空っぽのバスタブ』だけしか読めんかった。あと、タイトル忘れたけど時間の止まった校舎に閉じ込められる話も読めない。てか、あれはしんどい。きつい。マジ苦行。


今回読んだのは東野圭吾の『むかし僕が死んだ家』です。タイトルが既に私の好みを物語っているね。暗いおどろおどろしいミステリの予感がぷんぷんしますね。えーっと、外装自体は特に凝っているというわけもなく、表紙も家の絵が描いてあるだけです。ただ描き込みの少ない、ちょっと黒をよく使う絵なので、タイトルの明朝体との調和はとてもとれていると思います。オビに関して言えば、東野さん自体が既に『流星の絆』などで昨今もてはやされている方なので、その情報がちらほら書かれている感じです。東野さんの才能絶賛!みたいなことがバラバラと書かれてるけど、作中の印象的な台詞を一つ選んでどーんって載せるだけのほうが不気味でそれっぽくもあると思う。内容に関しては、幼い頃の記憶がない女と昔その女と付き合ってた男が、彼女の記憶を探しにある家に訪れるって内容の物語です。すべて男の視点で描かれ、男はその家になんの関係もないので、立場としては読者と同じであるわけだから、物語には結構入り込めると思います。登場人物はこの2人だけで、あとはその家にかつて住んでいた人たちが彼らの口から語られるだけです。なので、映像として見たときに、ホントにこの2人しか登場しません。しかも場所も全然その家から移動しないので、その閉塞感がたまらんです。
とにかく伏線が多い話ですね。ミステリファンといわず、本を読む人間は物語を先読みするクセが少なからずあると思うのですが、この本はそれを大いに楽しませてくれる内容です。そしてそれがあってたかあってないかで一喜一憂できますね。すべてにおいて推測を裏切ってくる作家さんというのもいますが、この本に関して言えば、割と思ったことがあってることが多いですね。なので、隅から隅までしっかり読むことをおススメします。てか、タイトルが既に伏線だと思う。終わり方は割りとありきたりな感じですが、静かに幕切れという印象でした。話の中心は女にあるのに、私たちには彼女のことがイマイチ理解しきれない感じです。文章は短く読みやすかったと思います。男の文だと思いました。
でも、そこまで私は東野圭吾好みじゃないかも。やっぱりいしいしんじだな。今度『ぶらんこ乗り』か『プラネタリウムのふたご』買おう。

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)